小笠山の紹介


 小笠山は、掛川市と袋井市にまたがる標高265mの丘陵のような低山ですが、豊かな自然があり魅力的な山てす。古くから人々の生活と深く関わりを持ち、地域社会に多くの恵みをもたらしてきました。山の東には古い歴史を有し矢矧祭で知られる小笠神社があり、西には厄除観音で有名な法多山が鎮座しています。また徳川家康の陣地跡などの遺構もある歴史遺産の山でもあります。その小笠山が出来たのは、今からおよそ100万年前頃から掛川付近に注いでいた大井川の扇状地が隆起を繰り返し形成されといわれています。山の大部分は河床堆積物の小笠礫層で占められ、その下層には貝化石を産出する掛川層群があります。小笠礫層の厚さは、東大谷付近で190m以上あるとのことです。

 浅い海の堆積物で出来ている掛川層群は浸食されやすく、その上部にある小笠礫層も激しい浸食を受け、数多くの崖が生まれました。崖は山の北東側に多く、南西側はなだらかな「ケスタ」地形となっています。このため小笠山は、深い谷が多く尾根が複雑に入り込み、変化に富む地形となっています。この特徴ある地質・地形、温暖な気候が多くの動植物を育み、植物は約1300種、野鳥は130種が確認されています。中でもシダが多く、176種類が確認され、シダ植物の宝庫です。小笠山の土地所有形態は、藩所有、御料林など歴史的経緯を経て、現在は国有林、財産区有林、私有林と様々です。山域は3千haと言われ、うち国有林は約700haで「保健保安林」に、一部の40.78haは「自然観察教育林」として指定されています。

 小笠山は、市街地や駅からも近く、自然に恵まれているため、市民はもとより、市外の人々にも親しまれています。

 ハイキングやウォ-キング、自然観察に適し、楽しみながら健康な体をつくることができる山です。静岡百山研究会による『静岡の百山』や静岡新聞社の『静岡の山50選』にも選定。自然豊かな小笠山は、地域や県の宝、貴重な山で大切にしたいものです。

 



展望台からは富士山や南アルプスなどを見渡すことができます。

 


 六枚屏風

長い年月の間に沢が山を削りました。幅1m高さが数十mの谷間が50m続いています。そそり立つ両岩はまるで折れ重なる屏風のようです。




  小笠神社

 創建は大変古く大宝2(702)年に遷座されています。小笠神社は熊野三山での那智大社にあたります。

 参道の急こう配の坂を上がった先にある社殿からは小笠平野を眼下に遠州灘の眺望が広がります。



 矢矧祭

 毎年11月3日に矢矧祭という神事が行われ家内安全・五穀豊穣・安産を祈念して、近くの多聞神社へ破魔矢の奉納、稚児舞いの御神楽などが古式にのっとり繰り広げられます。

 



 法多山

小笠山の西に位置し、創設は725年で古い歴史を有します。その法多山尊永寺は「はったさん」と呼ばれ、多くの人に親しまれています。また厄除観音としても知られています。国指定重要文化財の仁王門を始めとする文化財、春の桜、秋のもみじと四季を通して楽しめます。