調査研究


小笠山の国有林と入林について

小笠山には関東森林局天竜森林管理署が管理する国有林があり、山頂から南西側に大きく広がっています。面積は700haあり、自然観察教育林、保健保安林、土砂流出防備保安林に指定等されています。

ここ小笠山一帯は、樹木やシダ類など植物の種類も豊富で、昆虫や野鳥、野生動物の種類も多数観察されています。また、礫岩層が激しく浸食された小笠山独特の断崖形の地形、いわゆる「ケ

スタ地形」も大きな特徴です。小笠山は、こうした多くの動植物と険しい地形が調和して、豊かな自然が形成された貴重な都市近郊林です。

天竜森林管理署では、森林が人間生活に潤いを与えつつ地域の国土を守るなど、社会的にも自然的にも豊かな役割を果たすべく、森林の持つ多様な機能を発揮させることに努めています。

※国有林野への入林について(天竜森林管理署HP抜粋)

次の場合は、事前に入林手続きが必要になります。

1 鳥獣の捕獲等を行う場合

2 無人航空機(ドロ-ン、ラジコン機等)を飛行させる場合

3 国又は地方公共団体職員等が入林する場合

4 その他の目的等で入林する場合(イベント開催、取材、調査等)

なお、個人等で林道、登山道、歩道、広場等に登山や森林浴など森林レクリエ-ションの目的で入林する場合は入林届の提出は不要です。詳細、不明な点については、天竜森林管理署(050-3160-5670)に問合せ確認してください。

小笠山を愛する協議会では、小笠山国有林で行う自然観察会、野鳥観察会、ハイキングなどのイベントについては事前に入林届を提出し事業を行っています。

(調査研究 2024.2.12  上記は天竜森林管理署に確認 中山幸男)

 


小笠山の植物と特徴について(第1回)

1 小笠山は低山(265m)だが変化に富み広大な森が広がりそのほとんどが自然林で多く動植物を育む。

(1 ) 植物は1 3 0 0種、シダ1 7 4種が確認されている。近年減少したと言われるが多い。

(2 ) ケスタ地形、深い谷など変化に富む地形が植物の生育に適し、地形や土壌、日照などの条件を巧みに利用し植物はたくましく生きている。生育場所(尾根・山裾・谷間・湿地)により特徴ある植生が見られる。林床にはウラジロやコシダ等が群生。

尾根にはウバメガシ、タイミンタチバナ、タカノツメ、ヤマモモ、ネジキ、サカキ、ヒサカキ。ヒトツバ、ミツバツツジ、アブラツツジ等ツツジも多い。

谷にはオオキジノオ、ベニシダ、イタチシダ、カナワラビなどシダが多く、オオバノアマクサシダ、オオバノハチジョウシダもある。カギカズラやアオキ等が多い。

湿地にはイワタバコ、コモウセンゴケ、アケボノソウなど。山裾はショウジョウバカマ、サラシナショウマ、ホトトギス、サワヒヨドリ、センブリ、ゲンノショウコ、ツリガネニンジン、ツルニンジン、セキヤノアキチョウジ、ウメバチソウ、ナンテンハギなど。

近年外来植物が増加、アレチヌスビトハギ、アメリカセンダングサ、アメリカイヌホウズキ、ムラサキカタバミ、ハルジオン、ヒメジョオン、ワルナスビ、イタチハギ等。

 

2 山地性のアカガシと海岸性のウバメガシが山頂周辺で併存している。

アカガシはカシでは寒さに強く標高の高いところにあり、低山の小笠山で見られるのは珍しい。大きなものは幹周3mもある。またウバメガシ林が海岸から9kmも離れた小笠山にあるのは、かつて周辺に海が広がっていた影響と乾燥に強く砂利混じりの所にも生育できることによる。

 

3 貴重な植物が生育している。

(1) 絶滅危惧種のキキョウ、クサナギオゴケ、トラノオスズカケ、スジヒトツバ、ナヨテンマ、カゲロウラン、ヤクシマアカシュスラン、ウスギムヨウラン、キンラン、マツバラン、オオヤマツツジ、準絶滅危惧種のシラン、タシロラン、タチキランソウがある。

(2) 分布限界地に近い種として東限種のキダチニンドウ、トキワガキ、ルリミノキ、タカサゴシダ、北東限種のヤマビワ、北限種のスジヒトツバがある。南方系のカギカズラやサカキカズラなどがある。

(3 ) シダ植物は暖地性のウラジロ、クルマシダ、シロヤマシダ、タカサゴシダ、ナガバノイタチシダ、ヌカイタチシダ、マツバラン、ズスギなど種類が豊富。スジヒトツバ、ナチクジャク、ナチシダなどの南方系のシダも分布する。

(4) 希少植物のヒカゲツツジ、ミヤコツツジ、シタキソウ、ルリミノキ、ヒキヨモギ、カギカズラ、コクモウクジャク等がある。

(5) 巨木としては参道スギ、アカガシ、ウバメガシ、ヤマモモ、タブノキ、シイノキ、リュウキュウマメガキがある。

 

4 その他

(1) 国有林が700haあり、保健保安林や一部が自然観察教育林に指定されている。

(2)  野鳥は日本に生息する1/3の1 3 0種確認、静岡県の鳥サンコウチョウ飛来営巣、外来鳥のソウシチョウが最近増加している。

(3) 昆虫では掛川の名のあるカケガワオサムシや準絶滅危惧種のカトリヤンマ。南方系のイシガケチョウ、ハネビロトンボ、アカボシゴマダラが増加、生息している。

(4) 小笠山を愛する協議会HPで小笠山の植物、花、樹木などの情報を発信中。

 

参考文献:静岡県・静岡県林業会議所「小笠山の自然環境保全と利用に関する調査報告書」の植物相・杉野孝雄及び静岡県の植物・杉野孝雄、小笠山協議会の「小笠山みりょく発見ブック」

杉野孝雄「希少植物図鑑」、杉野孝雄「静岡の植物図鑑上、下」、掛川市の環境等

 (小笠山を愛する協議会の調査研究 文責中山幸男、2023.11.28)

 


 

 

小笠山の登山者の動向調査

    調査研究者 会員:瀧本 健

 

 

 

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