小笠山を愛する協議会 (2020趣意書)


 掛川市と袋井市にまたがる小笠山は、標高265mの低山ですが、変化に富み多様な動植物が生育する自然の宝庫です。

 小笠山の所有形態は、その歴史的な経緯から、国有林、財産区有林、私有林と様々。山域は3千haと言われ、うち国有林は約700haで、保健保安林に、一部の40.78haは「自然観察教育林」として指定されています。  

 この小笠山は、古くから人々の生活と深く関わりを持ち、地域社会に多くの恵みをもたらしてきました。また、掛川・袋井の市街地や駅からも近く、自然に恵まれているため、市民はもとより、市外の人々にも親しまれています。また、ハイキングやウォ-キング、自然観察に適し、楽しみながら健康な体をつくることができる山です。静岡百山研究会による『静岡の百山』や静岡新聞社の『静岡の山50選』にも選定されている地域の宝、県の宝でもあります。

 このような中、2015年11月30日、国有林を管理する農林水産省関東森林局天竜森林管理署は、小笠山国有林内への一般者の立ち入りを禁止(入山禁止)。突然の入山禁止に、小笠山を歩くことが出来なく小笠山愛好者や関係者など多くの人々が困惑しました。

 理由は、小笠山でカシノナガキクイムシによる「ナラ枯れ」が急増し、事故を防止するためとのことでしたが、納得出来ない小笠山の利用者、関係者は、話し合い、「小笠山が地域資産として人々に親しまれ、豊かな自然が後世につながるよう努めること」を目的に、「小笠山を愛する協議会」を2016年3月14日に設立しました。     

 国有林は国民の森です。会では、国有林を誰もが等しく利用出来ることを基本に、国有林を管理する天竜森林管理署等への要望書提出や話し合いなどで、問題の解決に取り組んでいます。現在、天竜森林管理署では、国有林のナラ枯れ対策を推進するとともに、国有林内の登山道(自然歩道)の補修などにも務めています。もう一つの会の柱は、自然豊かな小笠山の啓蒙です。会では自然観察会やネイチャ-ウオ-ク、野鳥観察会などを行い、参加者に小笠山の魅力を理解して頂き、自然保護の機運が高まるよう務めています。また、ゴミは持ち帰り山を汚さない、自然を大切にするなど、山のマナ-向上にも取り組んでいます。山を楽しむためには登山道の安全対策が不可欠です。道標の設置や危険箇所へのロ-プ設置、登山道の整備なども行っています。今後も登山道の安全対策など、会として出来ることを行う所存です。

 小笠山は地形は複雑でガケも多く侮れない山です。スズメバチやマムシ、ダニなどにも気を付けなければなりません。入山は自己責任で、他人の所有地を歩くことになりますので迷惑を掛けないよう注意をお願いします。   

 皆様のこれまでのご協力に感謝するとともに、引き続き活動へのご理解とご協力をお願い申し上げます。   

 

  令和2年吉日